新型コロナ後遺症は3年後も続く?最新研究が示す身体機能との意外な関係
📄 Post-Acute Sequelae of COVID-19 Persist Over 3 Years in Acute Lung Injury/Acute Respiratory Distress Syndrome Survivors But Are Not Associated With Persistent Thromboinflammation or Endothelial Dysfunction.
✍️ Jones, AE., Khan, Z., McGroder, CF., Murphy, SO., Depender, C., Mira-Sanchez, M., Ogunlusi, CO., Wei, Y., Garcia, CK., Baldwin, MR.
📅 論文公開: 2026年1月
3つのポイント
- 1
新型コロナウイルス感染症で重症化した人のうち約4人に1人(26%)が、3年経過後も後遺症に悩まされていることが分かりました。
- 2
後遺症がある人は、筋力や歩行能力の低下といった身体的な虚弱(フレイル)の状態にある傾向が強く見られました。
- 3
一方で、体内の持続的な炎症や血管の問題を示す一般的な血液検査の数値とは、後遺症との明確な関連が見られないという意外な結果でした。
論文プロフィール
- 著者名: Jones, AE. et al.
- 発表年: 2026年
- 掲載誌: Critical Care Explorations
- 調査対象: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で重症・重篤な状態から回復した成人150名
- 調査内容: 回復から3年間にわたり、後遺症(PASC)の有無、身体機能、そして血液中の炎症などを示す目印( バイオマーカー バイオマーカー 血液検査値や遺伝子情報など、健康状態や疾患リスクを客観的に測定可能な生物学的指標。 )との関連を調べた コホート研究 コホート研究 特定の集団を長期間追跡し、要因と疾患発症の関連を調べる観察研究デザイン。 。
エディターズ・ノート
パンデミックから数年が経ち、社会は日常を取り戻しつつありますが、「後遺症」に悩む方の声は今も聞こえてきます。その影響は一体いつまで続くのでしょうか。 今回は、重症化した患者さんを3年間追跡した貴重な研究をご紹介します。後遺症の長期的な実態と、私たちの体で何が起きているのかを一緒に見ていきましょう。
実験デザイン
この研究では、新型コロナで重症化し入院した150人の回復者を、退院後3年間にわたって追跡調査しました。
参加者は定期的に、後遺症に関する問診や、歩行能力などを測る身体機能テストを受けました。同時に、血液検査によって体内の炎症や血管の状態を示す11種類の バイオマーカー バイオマーカー 血液検査値や遺伝子情報など、健康状態や疾患リスクを客観的に測定可能な生物学的指標。 が測定されました。
その結果、後遺症(PASC)の有無と、身体機能のスコアには強い関連が見られました。一方で、予想に反し、血液 バイオマーカー バイオマーカー 血液検査値や遺伝子情報など、健康状態や疾患リスクを客観的に測定可能な生物学的指標。 の数値とは明確な関連が見られませんでした。
🔍 PASC(新型コロナ後遺症)の定義とは?
PASC(Post-Acute Sequelae of COVID-19)は、新型コロナ後遺症の医学的な名称です。この研究では、米国の⼤規模研究プロジェクト「RECOVER」が定めた12の症状(倦怠感、ブレインフォグ、動悸、息切れなど)のスコアに基づいて、PASCの有無を判断しています。単一の症状だけでなく、複数の症状を総合的に評価することで、より正確に後遺症の状態を捉えようとしています。
| 項目 | 身体機能スコア(イメージ) |
|---|---|
| 後遺症あり群 | 45 |
| 後遺症なし群 | 80 |
上のグラフは、研究結果を分かりやすくした概念図です。後遺症があるグループは、ないグループに比べて身体機能が低い傾向にあることが示唆されています。具体的には、歩くスピードが遅くなったり、椅子からの立ち上がりがスムーズにできなくなったりといった変化が見られました。
日常への活かし方
この研究から、私たちは何を学び、日々の生活にどう活かせるでしょうか。
1. 長引く不調は「気のせい」ではないかもしれません
まず大切なのは、新型コロナの後遺症が3年という長い期間にわたって影響を及ぼす可能性がある、という事実です。
もし感染後に原因不明の疲れやすさや体力の低下を感じているなら、それは「気のせい」や「怠けている」からではないかもしれません。今回の研究結果は、そうした不調が客観的な身体機能の低下と結びついている可能性を示しています。ご自身の体の声を丁寧に聞き、必要であれば医療機関に相談することも検討しましょう。
🔍 なぜ血液検査で異常が見つからなかったのか?
後遺症があるのに、一般的な血液検査で炎症などの異常が見つからなかったのは、不思議に思うかもしれません。研究者たちは、その理由としていくつかの可能性を挙げています。
- 急性期の激しい炎症は時間とともにおさまったが、神経系や自己免疫など、別のメカニズムが後遺症を引き起こしている可能性。
- 今回測定されなかった、未知の バイオマーカー バイオマーカー 血液検査値や遺伝子情報など、健康状態や疾患リスクを客観的に測定可能な生物学的指標。 が関わっている可能性。 この結果は、後遺症のメカニズムがまだ完全には解明されていないことを示しており、今後のさらなる研究が待たれます。
2. 「フレイル(虚弱)」を意識した体力づくり
今回の研究で、後遺症と強く関連していたのが「フレイル」でした。フレイルとは、加齢などにより心身の活力が低下し、健康障害に陥りやすい状態のことです。
裏を返せば、フレイルを予防・改善することが、後遺症によるQoL(生活の質)の低下を防ぐ鍵になるかもしれません。 日々の生活で、以下のようなことを少しだけ意識してみてはいかがでしょうか。
- 無理のない範囲で動く: 天気の良い日に短い散歩をする、テレビを見ながら足踏みをするなど、小さな一歩から始めてみましょう。
- バランスの良い食事: 特に、筋肉の材料となるタンパク質(肉、魚、大豆製品、卵など)を毎食摂ることを意識すると良いでしょう。
- 人とのつながり: 家族や友人と話すことも、心身の活力を保つ上で大切です。
もちろん、この研究は重症化した人が対象であり、すべての人に当てはまるわけではありません。しかし、感染症をきっかけに体力が落ちたと感じる方にとって、「身体機能の維持」という視点は一つのヒントになるはずです。
読後感
パンデミックは過去のものとなりつつありますが、私たちの体にはまだその爪痕が残っているのかもしれません。
新型コロナウイルス感染症を経験してから、ご自身の体調や体力に何か変化はありましたか? 今日の記事をきっかけに、ご自身の体をいたわるために、明日から始められそうなことは何でしょうか。