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栄養学

野菜と果物は大腸がんリスクを下げる?韓国1,600人超の調査から

📄 Association of fruit and vegetable consumption with colorectal adenoma among adults in Korea: a cross-sectional study.

✍️ Okekunle, AP., Youn, J., Song, JH., Kim, YS., Yang, SY., Lee, JE.

📅 論文公開: 2026年1月

大腸がん 野菜 果物 がん予防 食生活

3つのポイント

  1. 1

    韓国の成人1,658名を対象に、野菜や果物の摂取量と大腸ポリープ(腺腫)のリスクとの関連を調査しました。

  2. 2

    野菜と果物を最も多く食べるグループは、最も少ないグループに比べ、がん化しやすい「高リスク」なポリープが見つかる確率が42%低いという関連が見られました。

  3. 3

    ただし、この研究は因果関係を示すものではなく、「低リスク」なポリープとの関連も見られなかったため、結果の解釈には注意が必要です。

論文プロフィール

  • 著者名 / 発表年 / 掲載誌: Okekunle, AP. ら / 2026年 / Journal of Gastrointestinal Oncology
  • 調査対象: 大腸がんの既往歴がない、健康診断を受けた韓国の成人 1,658名
  • 調査内容: 野菜と果物の摂取量と、大腸がんの前段階とされる大腸腺腫(ポリープの一種)が見つかるリスクとの関連性を調べた研究です。

エディターズ・ノート

「野菜や果物をたくさん食べましょう」という健康情報はよく耳にしますが、具体的にどのような病気のリスクを、どのくらい下げる可能性があるのでしょうか。

今回は、私たち日本人とも食生活が比較的近い韓国の成人を対象に、大腸がんにつながる可能性のあるポリープと、野菜・果物の摂取量の関係を調べた研究をご紹介します。日々の食生活を見直すきっかけになるかもしれません。

実験デザイン

この研究は、ある一時点での健康状態と生活習慣を調べる「横断研究」という手法で行われました。

参加者1,658名を、食事調査の結果をもとに、野菜と果物の摂取量に応じて4つのグループに分けました。そして、大腸内視鏡検査の結果、特にがん化する危険性が高いとされる「高リスク大腸腺腫」が見つかった割合をグループ間で比較しました。

その結果、野菜と果物の摂取量が最も少ないグループに比べて、最も多いグループでは高リスク大腸腺腫が見つかる確率(専門的には オッズ比 と呼ばれます)が42%低いという関連が見られました。

野菜・果物摂取量グループごとの高リスク大腸腺腫のオッズ比。最も少ないグループを1.00として比較。(出典: Okekunle, AP et al. J Gastrointest Oncol. 2026) 0 0 1 1 1 1 高リスク腺腫の見つかりやすさ(オッズ比) 1 最も少ない 1.32 少ない 0.76 多い 0.58 最も多い
野菜・果物摂取量グループごとの高リスク大腸腺腫のオッズ比。最も少ないグループを1.00として比較。(出典: Okekunle, AP et al. J Gastrointest Oncol. 2026)
項目 高リスク腺腫の見つかりやすさ(オッズ比)
最も少ない 1
少ない 1.32
多い 0.76
最も多い 0.58
野菜・果物摂取量グループごとの高リスク大腸腺腫のオッズ比。最も少ないグループを1.00として比較。(出典: Okekunle, AP et al. J Gastrointest Oncol. 2026)

グラフを見ると、摂取量が増えるにつれて、一貫してリスクが下がるわけではありませんが、全体として「摂取量が多いほどリスクが低い」という傾向(P for trend = 0.02)が統計的に確認されました。

🔍 「高リスク大腸腺腫」って何?

大腸ポリープはすべてががんになるわけではありません。その中でも「腺腫」と呼ばれるタイプのポリープは、時間をかけてがんに進行する可能性があります。

この研究で注目された「高リスク腺腫」とは、

  • サイズが大きい(1cm以上)
  • 顕微鏡で見たときの顔つきが悪い(専門的には絨毛成分を含む、など)
  • ポリープの数が多い(3個以上) といった特徴を持つ、より注意が必要なポリープのことです。将来の大腸がんのリスクを考える上で重要な指標とされています。
🔍 この研究の限界:横断研究とは

この研究は、ある一時点のデータ(スナップショット)を分析する「横断研究」です。そのため、「野菜や果物を多く食べたから、ポリープのリスクが下がった」という原因と結果の関係を断定することはできません。

もしかすると、「もともと健康意識が高い人が、野菜を多く食べ、かつポリープができにくい生活習慣を送っている」だけかもしれません。また、「ポリープが見つかったことをきっかけに、食生活を改めて野菜を増やした」という逆の可能性も否定できません。

因果関係をより明確にするためには、同じ人々を長期間にわたって追跡調査する 縦断研究 が必要です。

日常への活かし方

今回の研究は、因果関係を証明するものではありませんが、野菜や果物を多く摂る食生活が、大腸の健康にとって良い影響をもたらす可能性を示唆しています。

この結果を受けて、私たちの日常生活では以下の点を意識してみると良いかもしれません。

  1. いつもの食事に「プラス一皿」の野菜を 難しく考えず、まずは毎日の食事にサラダやおひたし、具沢山の味噌汁など、野菜を使った小鉢を一つ加えることから始めてみましょう。
  2. 果物をデザートやおやつに 甘いお菓子の代わりに、旬の果物を選んでみてはいかがでしょうか。食物繊維やビタミンを手軽に補給できます。

ただし、この研究は韓国の成人を対象としたものであり、すべての人に同じ結果が当てはまるとは限りません。また、食事だけでなく、運動習慣、喫煙、飲酒などの他の生活習慣も大腸がんのリスクに大きく関わっていることを忘れないようにしましょう。


読後感

健康に良いと分かっていても、忙しい毎日の中で野菜や果物を十分に摂るのは難しいと感じる方も多いかもしれません。

完璧を目指すのではなく、まずは「今日の夕食に、何か一つ野菜を足してみようかな」という小さな一歩から始めてみませんか?あなたにとって、無理なく続けられそうな工夫は何でしょうか。