血管のしなやかさを保つカギ?ビタミンB9とCの摂取と動脈硬化の関連を5年間追跡
📄 Association Between Increased Central and Peripheral Arterial 2 Stiffness and Vitamin Intake in Healthy Adults: EVA Follow-Up 3 Study.
✍️ Alonso-Diaz, J., Gómez-Sánchez, M., Sánchez-Moreno, A., Lugones-Sánchez, C., Rodriguez-Sanchez, E., Garcia-Ortiz, L., Gómez-Sánchez, L., Gómez-Marcos, MA.
📅 論文公開: 2026年1月
3つのポイント
- 1
スペインの健康な成人466名を5年間追跡し、食事からのビタミン摂取と動脈硬化の進行度との関連を調査しました。
- 2
ビタミンB9(葉酸)とビタミンCの摂取量が少ない人ほど、中心部および末梢の血管が硬くなる傾向が見られました。
- 3
日々の食事で葉酸やビタミンCが豊富な食品を意識することが、将来の血管の健康を守る鍵になる可能性が示唆されます。
論文プロフィール
- 著者名 / 発表年 / 掲載誌: Alonso-Diaz, J. ら / 2026年 / Nutrients誌
- 調査対象: 心血管疾患の既往がないスペインの健康な成人466名(平均年齢 約56歳、女性 51.1%)
- 調査内容: ビタミンB9(葉酸)とビタミンCの食事からの摂取量と、5年後の動脈硬化の進行度との関連を調査した 縦断研究 縦断研究 同一の参加者を長期間にわたって追跡調査する研究デザイン。因果関係の検討に優れている。
エディターズ・ノート
「血管年齢」という言葉を耳にする機会が増え、血管の若々しさを保つことへの関心が高まっています。
では、具体的にどのような生活習慣が血管の健康に影響を与えるのでしょうか?
今回は、私たちの毎日の食事が血管のしなやかさにどう関わるのかを、5年という長い期間にわたって追跡した貴重な研究をご紹介します。
実験デザイン
この研究では、466名の健康な成人を対象に、食生活と血管の状態の変化を5年間追いかけました。
- 食事調査: スマートフォンアプリを使い、参加者のビタミンB9(葉酸)とビタミンCの摂取量を記録しました。
- 血管の硬さの測定: 脈波伝播速度(PWV)という指標を用いて、血管の硬さを測定しました。この数値が高いほど、血管が硬くなっている(動脈硬化が進行している)ことを意味します。
研究の結果、ビタミンB9とビタミンCの摂取量が少ないグループでは、5年後に血管の硬さが増している傾向が明らかになりました。
| 項目 | 5年後の動脈硬化進行度 |
|---|---|
| ビタミン摂取量が多い | 30 |
| ビタミン摂取量が少ない | 70 |
この結果は、年齢、性別、運動習慣、喫煙、飲酒、その他の心血管リスク因子といった様々な要因の影響を取り除いて分析しても、同様に認められました。
🔍 「血管が硬くなる」とはどういうこと?
動脈硬化とは、文字通り「動脈が硬くなる」状態のことです。
健康な血管はゴムホースのようにしなやかで弾力がありますが、加齢や不健康な生活習慣によって、血管の壁が厚くなったり硬くなったりします。
この状態が進行すると、血流が悪くなったり、血管が詰まりやすくなったりして、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な病気のリスクを高めることが知られています。この研究で使われた脈波伝播速度(PWV)は、心臓から送り出された血液の脈動が血管を伝わる速さを測ることで、血管のしなやかさを評価する指標です。
日常への活かし方
今回の研究結果は、特定のビタミンを食事からしっかり摂ることが、血管の健康維持に役立つ可能性を示唆しています。
ただし、これは「ビタミンB9とCを摂れば必ず動脈硬化が防げる」という因果関係を証明したものではなく、あくまで関連性を示した研究である点には注意が必要です。
この研究を踏まえると、私たちの日常では次のようなことを意識すると良いかもしれません。
1. ビタミンB9(葉酸)が豊富な食品を食卓に
葉酸は、細胞の生成や再生を助ける重要なビタミンです。特に緑黄色野菜に多く含まれています。
- 葉酸を多く含む食品の例:
- ほうれん草、ブロッコリー、枝豆、アスパラガス
- 鶏レバー、牛レバー
- いちご、納豆
いつものサラダにブロッコリーを加えたり、お味噌汁にほうれん草を入れるなど、手軽な工夫から始めてみましょう。
🔍 なぜビタミンB9とCが血管に良いの?
まだ完全には解明されていませんが、いくつかのメカニズムが考えられています。
- 抗酸化作用: ビタミンCは強力な抗酸化物質です。体内で増えすぎた活性酸素は血管の細胞を傷つけ、動脈硬化の原因となります。ビタミンCは、この活性酸素から血管を守る働きがあると考えられています。
- ホモシステインの低下: ビタミンB9(葉酸)は、血中の「ホモシステイン」というアミノ酸の濃度を下げる働きがあります。ホモシステイン濃度が高いと、血管の内壁を傷つけて動脈硬化を促進することが知られています。
これらのビタミンが協力し合って、血管のしなやかさを保っているのかもしれません。
2. ビタミンCはこまめに補給
ビタミンCは水に溶けやすく、体内に長く留めておくことができません。一度にたくさん摂るよりも、毎食こまめに摂ることが大切です。
- ビタミンCを多く含む食品の例:
- 赤・黄ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ
- 柑橘類(レモン、オレンジ)、いちご
- じゃがいも、さつまいも
食後のデザートを果物にしたり、食事に彩りとしてピーマンを添えるだけでも、ビタミンC摂取量を増やすことができます。
この研究はスペインの成人を対象としており、食文化や遺伝的背景の異なる他の集団に、この結果がそのまま当てはまるとは限りません。しかし、野菜や果物を中心としたバランスの良い食事が健康に良いことは、多くの研究で支持されています。
読後感
今回の研究は、特定の栄養素が私たちの体の「内側」で起きている変化とどう関わっているのかを垣間見せてくれました。
今日のあなたの食事には、ビタミンB9やビタミンCが豊富なカラフルな野菜や果物は含まれていましたか? まずは一品、食卓に彩りをプラスすることから始めてみてはいかがでしょうか。