And Well 研究所
メンタルヘルス

忙しいあなたへ。洗濯しながらできる「ながら瞑想」は効果がある?最新研究の答え

📄 Sitting and Active Meditation Practice: Utilization and Associations with Outcomes in Naturalistic and Clinical Trial Data

✍️ Goldberg, S. B., Jiwani, Z., Dahl, C. J., Tatar, R., Dunne, J. D., Davidson, R. J., Hirshberg, M. J.

📅 論文公開: 2026年1月

マインドフルネス 瞑想 ストレスケア メンタルヘルス

3つのポイント

  1. 1

    洗濯など日常の活動中に行う「ながら瞑想」は、瞑想アプリのユーザーによく利用されていました。

  2. 2

    この「ながら瞑想」は、伝統的な座って行う瞑想と比べて、心の健康への効果が劣らない可能性が示されました。

  3. 3

    忙しくて座る時間が取れない人でも、日常の活動に瞑想を取り入れることで、心の健康に良い影響が期待できるかもしれません。

論文プロフィール

  • 著者名 / 発表年 / 掲載誌: Goldberg, S. B. ら / 2026年 / Mindfulness
  • 調査対象: 瞑想アプリ「Healthy Minds Program」の一般ユーザー33,529名と、 ランダム化比較試験 に参加した192名の2つのグループ。
  • 調査内容: 座って行う伝統的な瞑想と、日常活動中に行う「活動的瞑想」の利用状況、および心身の健康への影響との関連性を調査。

エディターズ・ノート

「瞑想は心に良いと聞くけれど、忙しくて毎日座る時間なんて確保できない…」

そう感じている方は多いのではないでしょうか。今回の論文は、そんな現代人の悩みに寄り添う「ながら瞑想」の可能性を探った研究です。洗濯や散歩をしながらでも、瞑想はできるのでしょうか?その効果は?最新のデータから見ていきましょう。

実験デザイン

この研究は、2つの異なるグループのデータを分析している点が特徴です。

  1. 一般のアプリユーザー (n=33,529):

    • 日常的に瞑想アプリを使っている人たちの、自然な利用状況を調査しました。
  2. 臨床試験の参加者 (n=192):

    • 研究目的で瞑想に取り組んだ人たちのデータを分析しました。

研究チームは、参加者が「座る瞑想」と「活動的瞑想(ながら瞑想)」をそれぞれどのくらいの割合で実践しているかを調べ、それが心の健康状態とどう関連するかを分析しました。

結果として、座る瞑想の方がより一般的に行われていましたが、「活動的瞑想」も多くの人に利用されていることがわかりました。

2つのグループにおける活動的瞑想の利用状況。Goldberg, et al. (2026) のデータに基づき作成。 0 8 15 23 30 38 活動的瞑想を実践した人の割合 (%) 38 一般ユーザー(n=33,529) 28 臨床試験参加者(n=192)
2つのグループにおける活動的瞑想の利用状況。Goldberg, et al. (2026) のデータに基づき作成。
項目 活動的瞑想を実践した人の割合 (%)
一般ユーザー(n=33,529) 38
臨床試験参加者(n=192) 28
2つのグループにおける活動的瞑想の利用状況。Goldberg, et al. (2026) のデータに基づき作成。

そして最も重要な点は、活動的瞑想を実践することが、心の健康への効果を損なうことには関連していなかったということです。つまり、活動的瞑想は、座る瞑想に比べて効果が劣らない(非劣性である)可能性が示唆されたのです。

🔍 2つのグループで利用パターンが異なったのはなぜ?

この研究で興味深いのは、瞑想の継続(総利用時間)と実践パターンの関係が、2つのグループで逆になった点です。

  • 一般ユーザー: 「座る瞑想」か「活動的瞑想」のどちらかに特化している人の方が、両方を組み合わせる人よりも総利用時間が長くなりました。
  • 臨床試験参加者: 両方をバランス良く組み合わせる人の方が、総利用時間が長くなりました。

この違いは、参加者の背景やモチベーションの違いを反映しているのかもしれません。一般ユーザーは、自分のライフスタイルに合う「得意な」方法を見つけると続きやすいのかもしれません。一方、研究に参加している人々は、様々な方法を試すことに意欲的だった可能性があります。この結果は、瞑想を続けるコツが人によって違うことを示唆しています。

日常への活かし方

この研究は、「完璧な環境でなくても、瞑想は生活に取り入れられる」という希望を与えてくれます。座る時間がなくても、諦める必要はありません。

この知見を、私たちの生活にどう活かせるでしょうか?

  1. 通勤・通学を瞑想タイムに 歩いている時に、足の裏が地面に触れる感覚や、風が肌をなでる感覚に意識を向けてみましょう。いわゆる「歩行瞑想」です。満員電車の中なら、自分の呼吸に静かに集中するだけでも立派な瞑想になります。
  2. 家事をマインドフルネスの機会に 毎日行う皿洗いや洗濯物たたみ。こうした単純作業は、活動的瞑想にぴったりです。水の温度や泡の感触、衣類の柔らかさなど、五感で「今、ここ」の感覚を味わうことに集中してみましょう。
  3. 「静かに座る」にこだわらない 「瞑想=座禅」というイメージに縛られる必要はありません。この研究が示すように、大切なのは完璧な姿勢よりも、日常の中に意識を向ける習慣を持つことかもしれません。「5分だけ」と決めて、お茶を飲みながらその香りや温かさに集中するだけでも、心の静けさを取り戻す助けになります。

ただし、この研究は「活動的瞑想が座る瞑想より優れている」と結論づけたわけではない点には注意が必要です。あくまで「効果が劣らない可能性」を示した段階であり、今後さらに詳しい研究が待たれます。

🔍 「活動的瞑想」にはどんな種類があるの?

活動的瞑想は、日常のあらゆる場面で実践できます。以下はその一例です。

  • マインドフル・イーティング(食事瞑想): 食べ物の見た目、香り、食感、味を一口ずつ丁寧に味わいます。スマホを見ながらの「ながら食べ」とは正反対のアプローチです。
  • マインドフル・シャワー: お湯が体に当たる感覚や、シャンプーの香り、体を洗う手の動きに意識を集中させます。
  • マインドフル・リスニング: 音楽や自然の音(鳥の声、雨音など)に耳を澄まし、判断を交えずにただ音を受け取ります。

特別なスキルは必要ありません。ただ、今行っていること一つひとつに、少しだけ丁寧な意識を向けることから始めてみませんか。

読後感

完璧な瞑想を目指すあまり、かえって実践から遠ざかってしまうのは本末転倒かもしれません。今回の研究は、もっと気軽に、もっと柔軟に、瞑想を生活の一部として捉えるヒントをくれたように思います。

あなたにとって、日常生活の中で「ながら瞑想」ができそうな瞬間は、どんな時でしょうか?